君が死んだあの日、
僕は何も信じられなくなったんだ。
そして、僕は鬼になった。
〜キミノタメニ・・・〜
今から丁度5年前のあの日、僕達はいつものように一緒に遊んでいた。
僕は捨て子で、路地裏暮らし。だけど君はそんなことは全然気にせずに、僕と笑ってくれていた。
僕と、遊んでくれていた。
僕は毎日食事の心配ばかりしていて、そしてそんな僕を見て、君はこう言ってくれたんだ。
「一緒に暮らそう、それでもっと一杯遊ぼう」
ってね。
嬉しかったよ。凄く、凄く嬉しかった。
でも、君の親は勿論そんな事は許してくれなかった。
君は泣いていた。僕のことを抱きしめながら、大きく声を上げながら。
そんな君を見て、僕は胸が苦しくなった。
同時に、君の涙がとてもキレイに思えて。
苦しいんだけど、もっと見ていたい。そんな気持ちになった。
だけど現実はそんなの赦しちゃくれないから。
始めから間違ってたんだ。
お金持ちの子供の君と、僕なんかが仲良くなるなんて。
悲しいけど、それが現実。
だから僕は君の許から逃げた。
これ以上君に迷惑を掛けたくなかったんだ。
僕の所為で君が泣くのを見ると、心臓がぎゅうって痛くなる。
もう、そんな痛いのはごめんだ。
君には幸せに生きてて欲しい。
僕みたいな思いはさせたくない。
僕は走った。君の目が届かないところを目指して。
裸足で走ったから、足の皮が剥けて泣きたくなるほど痛かったけど、そんな事に構ってられない。
もしかしたら君が追ってくるかもしれない。
君は優しいから。僕を放っておいちゃくれないだろう。
だから走った。
走って
走って
走って
走って。
でも、それでも君は追ってきた。君の脚力じゃ僕に追いつくのは難しいって判ってて。
だからあんな無茶な道を走ったんでしょ??
あそこは危ないバイクが多いから行っちゃダメだよって、ちゃんと僕が教えてあげたのに。
それなのに君は僕を追う為にその道を通ったんだ。そして・・・
誰も助けてくれなかった。君を抱えた僕は、誰から見ても薄汚いストリート・チルドレン。
僕が大声で泣き叫んでも、誰もがそれを見ないフリして立ち去っていった。
そして、君は、死んだ。
唯一僕を認めてくれた君。唯一僕を愛してくれた君。
その君が死んで、僕ももう死んでしまいたい気分だった。
でも、僕は生きた。
君を殺した世界を潰す為に。
君の代わりに世界に復讐する為に。
そして強くなった。5年も掛かっちゃったけどね。
僕はもう昔の僕じゃない。世界を変える為に立ち上がったヒーローだ。
待っててね、すぐ君に見せてあげるから。
僕が造る、新世界を。
*作者コメント*
突発的にこういうのが書きたくなって超短時間で書き上げた代物です。
意外と友達からの評判が良かったので、時間とネタがあれば長編化するかもしれません。