届かない手紙







 貴方に手紙を書きました。

 私のキモチを綴りました。

 切なくて、泪が出ました。

 水性ペンで記した文字が、滲んで読み難くなりました。

 それでも、何とか書き上げて、

 最後に宛名を書こうと、そう思ったのですが、

 そう、私は貴方の名前を知らないのです。





 ふ、

 と、

 少し優しさに触れただけ。

 ふ、と、

 少し笑顔を向けて貰っただけ。

 貴方にとっては、極々普通の事だったのでしょう。

 でも、それでも、

 私にとっては、とても素敵な事だったのです。





 この手紙は、貴方に届くのでしょうか。

 この想いは、貴方に届くのでしょうか。

 きっと、きっと無理なその願いが、

 綴られた私のキモチと相重なって思えて、

 また、心臓が潰れそうになりました。



 

 宛先の無い、封筒を見つめて・・・










*突発的超駄作。しかも短い。でも自分では結構新鮮だったりします。
 とある方に影響されて、ふと、書きたくなりました。
 相も変わらず恋愛モノは苦手なんですがね・・・偶にはこういうのもいいですか?(訊くな)








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